昨日みつけた、怪文書・オウム真理教の新会員の願いをかなえる宝石の言葉。
修行する前にやる気を出すため、「修行するぞ! 修行するぞ! 修行するぞ!」と3回唱えていたのは有名ですが、「修行」の部分を別の内容(勉強とか、練習とか)に置き換えると、そのまま一般的な「やる気を出すための言葉」になりそう。また、絶えず動機を確認することで、初心を思い出し、やる気を出す、というのも、効果的だと聞いたことがあります(*1)。オウムには高学歴の人がたくさん参加していましたから、心理学にくわしい人もいたんでしょう。
中盤からは、新規に入会した会員に聞かせていたテープの内容が出ていますが、これはすごいですね。冒頭からして、こんな感じ。
わたしは、オウム真理教に、入会してうれしいなあ! うれしいなあ! わたしはオウム真理教に入会してうれしいなあ! うれしいなあ!
一人称が「わたし」というのは巧妙ですね。また、同じフレーズを繰り返すのにも意味があるのでしょう。 これを何度も何度も繰り返し、この文書によると1000時間を目標に聞かせていたそうで、そりゃあ洗脳もされるわな。また、このテープの中盤からの、ビデオ学習に向けて気合を入れる部分なんかは、そのまんまどっかの受験予備校で使われていてもおかしくない。
わたしはオウム真理教へ入会した。 わたしはオウム真理教へ入会した。 まず、やらなければならないこと、それはビデオ教学である。 まず、やらなければならないこと、それはビデオ教学である。 たったの五十七時間でビデオ教学が終わってしまう。 たったの五十七時間でビデオ教学が終わってしまう。 さあビデオ見るぞ。ビデオ見るぞ。ビデオ見るぞ。ビデオ見るぞ。ビデオ見るぞ。 徹底的にビデオ見るぞ。 徹底的にビデオ見るぞ。 徹底的にビデオ見るぞ。 徹底的にビデオ見るぞ。 徹底的にビデオ見るぞ。
(中略)
さあ徹底的に、ビデオ記憶するぞ。ビデオ記憶するぞ。ビデオ記憶するぞ。 ビデオ見るぞ。ビデオ見るぞ。ビデオ見るぞ。ビデオ見るぞ。ビデオ見るぞ。 ビデオ見るぞ。ビデオ見るぞ。
たぶん、会員が予備校等で個人的に経験した、「効果的なマインドコントロール」も踏まえているんでしょうね。オウム信者の中心世代は大学受験がかなり厳しかった時代ですし。
オウムのシステムにも予備校的な部分があって、修行のカリキュラムは「単位制」で、ビデオやセミナーをひとつひとつこなしていくことで、真理に至る、という仕組みになっていた。そのビデオやセミナーの受講料が、オウムの重要な資金源になっていたのです。
表面的には関係ありませんが、僕の中で、オウムは、結成当時・福本イズムの時代の日本共産党の姿とダブりました。
福本イズムというのは、福本和夫という、初期の共産党の理論的支柱となった人物の提唱したもので、二段階革命論とか色々説明されますけど、その理論の実践の形は「まず、前衛たる我々が共産主義の理論をより深く知るべきである」というもので、誇張して言えば「勉強してれば革命できる(革命のためにはまず勉強である)」という、結構すごい理論です(*2)。
しかし、これがウケた。その理由は当時の共産党支持者がほとんどインテリだったからですが、同時に労働者にはほとんど支持されなかった理由も、このあたりにありそう。ちなみにこの福本イズム、1927年には、各国の共産党を束ねていたコミンテルンの幹部・ブハーリンによって否定され、共産党はより活動的な「武装共産党」の時代を迎えることになります。
オウムと福本イズムが、インテリや学生に人気があった理由。それは、「学習→成果」という、わかりやすいシステムを提唱していたからでしょう。これは、お勉強をまじめにこなしてきたインテリが陥りやすい罠だと思います。社会の一部に過ぎない「学校」という場で機能した方法論を、そのまま社会全体に当てはめてしまう。
でも、世の中にはそういうシステムに収まらない世界というものがあるわけで、むしろ「学習→成果」システムが機能することの方が少ないのではないか。経済学をいくら勉強しても、勉強するだけでは億万長者にはなれないわけで。この2つの事例は、自戒として胸に留めておきたい。
(´-`).。oO(途中からテーマが変わってるけど、思いつきを適当に書いているだけなので、仕方ないのです)
*1:この文書によると、オウムの場合、「4時間に一度、自分の願望を確認する」というかなり極端なものだったみたいですが。
*2:ちなみに、戦後の共産党にもある種の「学習システム」があった(現在もある?)が、これは研究・学習のためというよりは、内部の思想統一のため。課題図書も共産主義思想の「古典」よりも、日共流の共産思想を解説した、共産党幹部の著書が中心だった。本来、政治信条を同じくする者の集合であるはずの政党内で、さらに統一を行うというのがすごい。
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